妊娠・出産
バセドウ病の女性が妊娠するときに気を付けたいこと
バセドウ病は女性がかかりやすい病気と言われており、男性1に対して女性が9という男女比を持つ病気でもあります。女性のバセドウ病患者にとって気になることといえばやはり妊娠・出産に関してです。
パートナーとの子供を産みたいけれど妊娠・出産にバセドウ病が与える影響が気になるかもしれません。そこで今回は、バセドウ病患者の女性が妊娠したときに気を付けたいことを紹介します。
バセドウ病は自己免疫疾患のひとつ
バセドウ病とは甲状腺ホルモンが過剰に作られることで、甲状腺機能亢進症を起こす自己免疫疾患の病気のひとつです。
バセドウ病になると新陳代謝が活発すぎるため、食欲が増加するのに体重は減少したり、動悸や頻脈が起こったり、疲れやすくなったりします。
バセドウ病と妊娠の関係
先にも述べた通り、バセドウ病は女性がかかりやすく、特に20~30代の頃に発症しやすい病気であると言われています。
バセドウ病になると、生理が止まってしまうことがありますが排卵はしています。そのため、治療で甲状腺ホルモンの血中の値が正常にたもたれている場合は、妊娠が可能です。
しかし、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている状態のままだと、早産や流産をしやすいので注意が必要。一般的に妊娠中は、バセドウ病の症状は軽くなるといわれています。
妊娠中もバセドウ病の治療は継続
先にも触れた通り、バセドウ病により甲状腺機能が亢進していると自身の体力の消耗が激しいため、早産や流産になる確率が高まってしまいます。そのため、妊娠中にもバセドウ病の治療は行われます。
妊娠中に処方される抗甲状腺薬は「チウラジール」というものが一般的。チウラジールは妊娠中に服用しても胎児に影響はないと言われています。メルカゾールなどの他の抗甲状腺薬は、胎児に副作用がでる可能性があるといわれているものもあり、妊娠前に服用していた場合は妊娠中は薬が変更されるでしょう。
赤ちゃんの甲状腺機能亢進
母親がバセドウ病の場合は、胎児も甲状腺機能亢進状態にあります。母親の甲状腺刺激抗体(TRAbやTSAb)が妊娠後期も高い場合は、この抗体が胎児の甲状腺も刺激することがあるからです。
しかし、これは一時的で遺伝ではなく、生後1ヶ月程度で体外に排出されるため、そのままバセドウ病に移行することはありません。
家族計画は医師へ前もって相談
バセドウ病を患っている女性が妊娠を望むにあたり、知っていてほしいことがあります。それはバセドウ病の治療初期など、甲状腺ホルモンの濃度が高く治療に専念するべき期間は、通常の妊婦さんに比べるとはるかに流産の可能性が高くなってしまうと言われていることです。
安全に妊娠・出産するためには、バセドウ病の本格的な治療を行っている間は、家族計画をせず、まずは治療に専念することをお勧めします。治療が進み、経過観察や寛解、と言った治療効果が現れ、条件がそろえば妊娠・出産は可能です。
治療中の方は、妊娠・出産の意志があることを担当医に告げて、指示を仰いでくださいね。
内科・産科の連携ができる病院がベスト
バセドウ病患者が妊娠したときに、最も気を付けてほしいのが内科と産科の連携をしっかり取ってもらうということです。
妊娠して産科にかかるようになると必然的に既往歴などを聞かれるとは思いますが、どこの病院でどんなふうに治療しているのか、出産に当たって考えられる問題は何かなど2つの病院でしっかり連携をしてもらう必要があります。
総合病院でバセドウ病の治療を受けているなら、その病院に産科がある場合はトラブルが起きた時の対応も早いので、同じ病院での出産の方がより安心かもしれませんね。
奇形への心配はそれほど必要ない
バセドウ病の患者さんが妊娠すると、多く出る質問で「うちの子が奇形になる可能性はどれくらいだろうか」というものがあります。愛する我が子には、五体満足に生まれてほしいと思うのは誰もが一緒の考えです。
バセドウ病の場合、奇形の子が生まれる確率が通常の妊娠・出産に比べて異常に高くなることはありません。1000人に10人くらい、パーセンテージで言えば0.01%程度です。
むしろ、奇形への心配から心を病んでしまうことの方が影響が大きいので、あまり心配せずに安心してマタニティライフを過ごすようにしましょう。
気に病まず正しい知識を持つことが大事
バセドウ病だから妊娠出産のリスクが高くなる…と気に病んでしまうと、そのストレスから妊娠が難しくなることもあります。
正しい知識を持つことで健康な人と同じような妊娠生活を送ることができますので、まずは医師にきちんと相談してみるようにしましょう。
(Photo by:http://www.photo-ac.com/ )
著者: カラダノート編集部