妊娠・出産
不妊の原因と不妊治療の種類について
◆不妊の原因
不妊の原因は女性だけではありません。男性原因の不妊も全体のおよそ半分の割合であると推定されています。不妊治療の始まりは、不妊の原因をさまざまな検査などから見つけ出すことにあります。一般的に、女性側の不妊原因で一番多いものは「卵管障害」です。卵管とは、精子や卵子、受精卵の通り道であり、妊娠するためにはとても重要な場所です。卵管は非常に細いため、少しの炎症で通路が詰まってしまったり、狭くなったりしてしまうことがあります。炎症が起こる原因には、クラミジアなどの性感染症や癒着を起こした子宮内膜症が卵管をふさいでしまうこともあります。
次に、男性側の不妊原因でもっとも多いものは「造精機能障害」です。これは、精子を作る能力が低いか全くない状態、または精子の動きが悪い状態をいいます。原因は精巣やホルモン分泌の異常だと考えられています。
◆不妊の原因を治療する方法
不妊治療には、不妊の原因を治療する方法と、人工授精や体外受精などによる原因を避ける治療方法があります。当然ですが、女性と男性どちらに原因があるかでも、治療方法が異なります。まず女性に不妊の原因がある場合、その原因を治療する方法は以下の3種類があります。
1.タイミング療法
基礎体温をつけたり、排卵を促すホルモン量を調べます。排卵日を特定し、その日に合わせて性交渉を行うことで、妊娠の確率を上げる方法です。
2.薬物治療
ホルモン療法が中心で、排卵を促すホルモン剤の服薬、排卵誘発剤の注射などが行われます。タイミング療法と組み合わせて行われることも多いです。
3.外科手術
子宮内膜症や筋腫、ポリープが不妊の原因になっている場合は外科手術によってそれらを切除します。
次に、男性に原因がある場合は以下のような治療が行われます。
1.薬物治療
精子の数が少ない(乏精子症)や運動率が低い(精子無力症)の場合に行われます。ホルモン剤や抗菌薬、漢方薬、ビタミン剤が使用されます。
2.外科手術
男性不妊患者の約40%にみられる「精索静脈瘤」が原因で精子の数の減少が起こっている場合には手術が行われます。
◆不妊の迂回治療について
迂回治療とは、女性が高齢の場合や不妊原因の治療が難しい場合などに、その原因を避けて妊娠へと導く治療方法です。迂回治療には以下のような種類があります。
1.人工授精
女性の排卵期に合わせて、男性の精液を子宮内に注入する方法です。卵管が閉塞していないことが前提となります。
2.体外受精
卵管に障害がある場合や、人工受精に何度も失敗している場合に行われます。強いホルモン剤を使用して排卵を誘発し、卵子を採取して体外で受精して胚まで育ててから子宮内に戻します。
3.顕微受精
男性の精液中に精子がない場合や、卵子培養液に精子を加えても受精しない場合に行われます。精子を卵子に注入する時に顕微鏡を使って行うので顕微授精と言われます。無精子症の場合でも、精巣や精巣上体から精子を採取できることがあります。
不妊の原因はカップルごとに違いますので、不妊治療はその原因を明らかにした上で進められます。1回の検査では原因がはっきりしないことも多いようで、その場合は時間をおいて2回目(もしくは3回目)の検査を受けてから、診断をおこなう場合もあるようです。
著者: カラダノート編集部