健康診断・健康管理
ALP値が急上昇!子どもに多い病気、一過性高ALP血症って何?この検査でわかること
胆道の病気、そして肝臓の病気などを知る際の指標のひとつがアルカリホスファターゼという酵素の値です。通称はALP値と呼ばれており、このALP値が高いときには胆道や肝臓になんらかの異常がある、がんの骨転移が起きているなどの事態が予測されます。
特に600IU/l以上の場合は閉塞性黄疸、転移性骨腫瘍などの病気が考えられます。
●一時的にALP値が高くなる一過性高ALP血症
ALP値が高いのは確かに危険ですが、危険度から言うとがんなどよりもはるかに低い病気が一過性高ALP血症です。
名前からもわかるように一時的にのみALPが血中に非常に多くなってしまう病気で、その症状は消化器に現れることが多いです。下痢や嘔吐が中心で、発熱を伴うケースも多いことから、風邪と誤解されることも少なくはありません。
●一過性高ALP血症は子どもに多い
小児科外来に来る子供のうち、1000人に7人はこの一過性高ALP血症と言われるくらい、子どもに多い病気です。
子供の中でも特に注意したいのが3歳以下の子で、元々子供は骨の成長があるためALP値が高いことを差し置いても非常に高い値が確認できます。乳幼児がかかりやすいロタウイルスやRSウイルス感染と関わりがあると考えられ、現在研究が進められています。
●ALPアイソザイム分析で判断できる
ALP高値が一過性高ALP血症かどうかの診断は、ALP1型からALP6型までを分けるアイソザイム分析によって判断できます。一過性高ALP血症の場合は、肝臓・胆管型のALP1型と肝臓・毛細胆管型のALP2型の間にバンドと呼ばれるものが出ます。
ALP値が高いと一般的に考えられる病気には肝臓の病気、がんの転移などが挙げられますが一過性高ALP血症の可能性もあります。
子供がかかりやすい一過性高ALP血症ですが、大人も可能性がゼロではないのでアイソザイム分析によってどこに問題があるのかをみる必要があります。
消化器症状が出るので水分・栄養補給に気をつけながら過ごせばそのうちにALP値は正常に戻ります。
肝機能の病気がわかる!ALPの働きを簡単に知ろう!
ALPはアルカリホスファターゼという正式名を持っている酵素で、肝臓や骨、胎盤などにあります。
血液中に出てきたALPはどこ由来のものかをはっきりさせるために、異常値のときにはアイソザイム分析を行います。
なお、基準値は測定方法によって異なりますが、一般的にはP-NP法の58-200IU/Iが使われる傾向にあります。
●ALPは代謝に役立つ酵素
ALPの主な働きはリン酸化合物を分解することです。分解という役割を持っていることからALPは分解酵素と呼ばれています。
アルカリホスファターゼという名前からもわかるように、アルカリ性の状況下では活発に働く酵素です。
ちなみにリンは植物にも動物にも欠かせない存在と言われており、脊椎動物ではリン酸カルシウムによって骨格を作っています。
●ALPが血液中に流れ出すのは問題
肝臓からALPが流れるときには胆汁の中に入り込むのが一般的です。
肝臓でできた、ALPを含む胆汁は肝臓から胆管へ、胆管から十二指腸へと流れるのですが途中で胆汁が流れにくくなり血液中に入り込むことがあります。
例えば胆道に腫瘍が出来た場合などを考えると逆流のイメージがつきやすいでしょう。
そうなると血液中に胆汁及びALPが入ってくるため血液検査をしたときにALP高値となってしまうのです。
●血液型によっても違う特徴
ALPの働きとは少し違いますが、実は血液中のALPは血液型によっても異なることがわかっています。
B型およびO型の人の場合は一般的にALP値がどちらかといえば高いです。
それにプラスして、アイソザイム分析でALP5(小腸由来)のALPが多いと分かった場合に、B型・O型の方の場合は脂肪食摂取後の一時的な変化という可能性が指摘されます。
ALPは人間の体に必要なリン酸化合物を分解するという役割を持っており、低値でも高値でも危険性はあります。
詳しく病気を知るにはアイソザイム分析が必要です。
ALP値が低すぎると遺伝性低ALP血症の可能性がある!?
アルカリホスファターゼというのは肝機能や骨を作る機能と関係している酵素のひとつで、健康診断ではALPとあらわされることがある酵素でもあります。
アルカリホスファターゼはあらゆる臓器に含まれており、平均的な数値は80-260IU/lです。ALP値が高すぎる場合には胆道疾患、肝疾患などの危険性があります。
●ALP値下限は流動的です
ALP値の下限は80IU/lとされてはいるものの、実はそれを少し下回っても健康的に過ごしているという方は多いです。どちらかといえば問題とされるのはALP値高値の方で、低値・下限についてはさまざまな病気を引き起こすことはまれです。
ただ、唯一気をつけたいのが遺伝性低ALP血症です。
●遺伝性低ALP血症の特徴と症状
遺伝性低ALP血症とは名前の通りALPが少ない病気で、生まれつきの疾患でもあります。乳児のうちに遺伝性低ALP血症になってしまった場合は、その50%が死亡してしまう恐ろしい病気なのです。
特に両親の両方から遺伝性低ALP血症を受け継いでしまうタイプは致死型とも言われており、けいれん発作や呼吸障害がもとで亡くなってしまうケースが非常に多いです。
一方で同じ遺伝性低ALP血症であっても、中年期以降に発症する成人型の場合は死亡率は高くはありません。
骨を作る機能と関係するのがALPですので、骨が折れやすくなったり痛んだりするのが主な症状です。場合によっては自力歩行が出来なくなることもあります。
アルカリホスファターゼは下限値よりもちょっと少ないくらいであれば病気の可能性は低いです。ですが、遺伝性低ALP血症の可能性もあるので場合によっては詳しい検査が必要なこともあります。
遺伝性低ALP血症は海外の統計では10万人に1人がかかる病気で、有効な治療法がないのが現状です。
よく分からない健康診断の数値…ALP高値から考えられる4分類の病気!
健康診断の数値はよくわからないアルファベットやよくわからない単位で書かれていることからあまり注意してみたことはないという方もいるかもしれません。
ですが、健康診断の数値をしっかり見ておくことで、自分の体の悪いところはもちろんこれから何に注意したらよいかもわかります。
肝機能や一部の骨の疾患についてよくわかるのがアルカリホスファターゼというものです。
●アルカリホスファターゼ(ALP)のアイソザイム
アイソザイムというのは同じ酵素、物質であってもアミノ酸配列が違うことによってどこから来た酵素や物質であるかわかるということです。
アルカリホスファターゼの場合には6つのアイソザイムがあり、ALP高値となる場合には病気を4分類できます。
●ALP高値の病気1 肝臓や胆道
アルカリホスファターゼの高値からわかる病気の1つ目が肝臓や胆道に関連している病気です。
例えば脂肪肝や急性肝炎、肝硬変など肝臓に異常が出る病気はもちろん、胆道閉塞などもALP高値から考えられます。
●ALP高値の病気2 骨の疾患
ALP高値で、なおかつアイソザイムが骨由来のALP3である場合は骨の疾患の危険性が高いです。
単純な怪我である骨折でもALP高値が出ますが、そのほかには骨肉腫やくる病などがあります。
●ALP高値の病気3 悪性腫瘍
ALP高値で、アイソザイムが胎盤由来の場合に、少数ではありますが悪性腫瘍の可能性があります。
女性でアイソザイム胎盤由来のALPが高い場合には一般的に最も考えられるのは妊娠で体が変化したことによるALP高値です。
●ALP高値の病気4 大腸炎等
ALPの6つのアイソザイムの内ALP6はどこ由来ではなく結合型という少し特殊なものです。
免疫グロブリンと結合したタイプのALPが多い場合には潰瘍性大腸炎などの可能性があります。
アルカリホスファターゼは主に肝機能の異常などをあらわす健康診断の指標として使われますがそのほかに骨の疾患や悪性腫瘍などがある場合にも高値が出やすいです。
いずれにしてもアイソザイム分析が詳しく病気を知るための手掛かりとなります。
アルカリフォスファターゼ(ALP)の値を調べる血液検査でわかることとは
アルカリフォスファターゼ(ALP)というのは酵素の一つで、リン酸エステル化合物を加水分解するための酵素です。アルカリフォスファターゼはALPとも呼ばれ、肝臓や小腸・骨・胎盤などに多く含まれています。そのため、これらの臓器がダメージを受けた場合には、血液中に流れ出すため、血液検査においては異常値を示します。
肝臓などに異常がある場合
多くの場合、肝臓か骨に異常がある場合にアルカリフォスファターゼが血液中に流れ出します。また、ALPは肝臓から胆汁の中にも流れ出すこともあります。胆汁は肝臓がつくる液体で、胆管という管を経て十二指腸に流れ出す可能性があります。
この胆管に腫瘍や石ができると胆汁が流れにくくなります。これがさらに悪化すると、逆流して血液中に胆汁が漏れ出るようになってしまいます。
アルカリフォスファターゼの検査方法
アルカリフォスファターゼの値を調べる方法は、血液検査です。その測定方法は5種類ありますが、現在ではおおよそ3種類が主要な測定方法として用いられています。そして、その検査方法それぞれで単位が異なるので、異なる医療機関でアルカリフォスファターゼを測定する場合には、その測定方法についてもあらかじめしっかり理解しておきましょう。
P-NP法の場合:58-200IU/I
キンド・キング法の場合:3.0-10.0KAU
ベッシーローリー法の場合:0.8-2.9BLU
アルカリフォスファターゼ値の読み方
アルカリフォスファターゼの値が高い場合は、胆汁の流れが止まってしまい、黄疸が出てくるような場合です。しかし、急性の黄疸の場合はアルカリフォスファターゼの値がそれほど上昇しないので、注意が必要です。
以上のように、胆道の閉塞や狭窄が発生している場合に、アルカリフォスファターゼが血液中で高い値を示します。健康診断などで数値が高い場合には、精密検査が必要になるかもしれません。
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著者: カラダノート編集部