健康診断・健康管理
呼吸抵抗検査って何をする検査?安静時呼吸で異常がわかる!方法や考えられる病気とは?
呼吸抵抗検査は気管支喘息、咳喘息など呼吸機能に問題のある病気を調べるための検査のひとつです。
どんなことをして、何を把握するための検査なのかを見ていきます。
●安静時呼吸で異常を調べられる
呼吸抵抗検査は一般的なスパイロメトリーによる呼吸機能検査とは異なり、安静時呼吸で呼吸機能の異常を調べられるメリットを持っています。
使用する機器はスピーカーの横にパソコンの画面がついたようなもので、スピーカーを口にくわえて検査します。
スピーカーからは音波が送られ、普通に息をしていてもその音波に対して抵抗が生まれるのでそこから気道の様子を把握できるのです。
●呼吸抵抗検査でわかる病気
呼吸抵抗検査を行うことでわかる病気は呼吸機能検査でわかる病気とほとんど同じで、喘息やCOPDがあります。
特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)においては、診断のときだけではなく経過観察でも呼吸抵抗検査が活躍すると言われています。
せきや痰が続く場合にはCOPDの可能性も否定はできませんので、一度検査を受けることをお勧めします。
●費用は3割負担で450円
呼吸抵抗検査は診療報酬点数が150点で、これは3割負担の医療費に直すと450円となります。
2012年までは今よりも診療報酬点数が低く費用も格安だったのですが、診療報酬の見直しによって点数150点となっています。
なお、この150点という点数は広域周波オシレーション法によるもので、そのほかの呼吸抵抗測定の点数は60点、3割負担180円の費用です。
呼吸抵抗検査は安静時呼吸によって呼吸器の異常を確かめられる検査で、検査時間は1-2分程度となっています。
負荷の少ない検査ですし、検査時間が長くてつらいといったことはまずないでしょう。
慢性閉塞性換気障害を早期発見!呼吸機能検査のひとつ、クロージングボリューム検査って?
クロージングボリュームは呼吸機能検査のひとつですが、ほかの呼吸機能検査との違いは何かを見ていきます。
●末梢気道の閉塞具合を見られるクロージングボリューム
クロージングボリューム検査の他の呼吸機能検査では、スパイロメトリーが最もよく知られています。
ですが、スパイロメトリーでは末梢気道については閉塞の程度がわかりにくいデメリットがあり、そのデメリットを解消できるのがクロージングボリュームです。
末梢気道の閉塞をクロージングボリュームで知ることで、より早く慢性閉塞性換気障害を発見できます。
●末梢気道って何だろう?
クロージングボリュームでわかる末梢気道の閉塞ですが、そもそも末梢気道とは何かというと2mm未満の細い気管支のことです。
気管は、1番大きいものから数えると18次分岐で最後の最も小さい気道になります。
そして、末梢気道は7次分岐以降の非常に小さい気道です。
●COPDで特徴的な末梢気道の炎症
末梢気道の状態がわかることで病気の早期発見にもつながりますが、その効果がより高いのがCOPDの検査についてです。
患者数は多いものの治療者数は少ないと言われるCOPDでは初期症状で末梢気道の炎症が見られ、次第に症状がひどくなっていきます。
早めにCOPDを見つけて生活習慣を変えるためにもクロージングボリューム検査は活躍しているといえるでしょう。
COPDなど閉塞性換気障害の早期発見に役立っているクロージングボリューム検査ですが、具体的な検査方法は窒素の1回洗い出しなどで行われます。
息を吸い込んでゆっくり吐くだけの検査ですので、ほかの呼吸機能検査ほど努力呼吸を頑張る必要がない検査とも言えるのです。
ちょっとしたコツはありますが、基本的には無理なく呼吸するだけでOKです。
呼吸筋力低下から考えられる3つの病気 筋ジストロフィー・重症筋無力症・ライム病
呼吸をするための筋肉である呼吸筋の力が低下する状態を呼吸筋力低下と呼びます。
そんな呼吸筋力は呼吸の様子を観察することでわかります。そんな呼吸筋力低下がみられる病気を紹介します。
●筋ジストロフィー
筋ジストロフィーの患者は、呼吸筋力測定を定期的に受けるべきとされています。
というのも筋ジストロフィーでは全身のさまざまな筋線維が破壊・変性して筋力が低下する病気だからです。
副腎皮質ホルモンの治療などを行っていますが、進行度合いを確かめるためにも呼吸筋力測定は必須なのです。
ちなみに、数多くある筋ジストロフィーの型の中でもデュシェンヌ型では8割が人工呼吸器を必要とするほど呼吸筋力が低下します。
●重症筋無力症
重症筋無力症は自己免疫疾患のひとつで、自分の体を自分で攻撃してしまう病気です。
主に眼筋型(目のみに症状が出る)と全身型(全身に症状が出る)にわかれており、患者数は2006年時点で全国に15000人程度いると言われています。
眼瞼下垂や疲れやすさが特徴的な病気ですが、そのほかにものが飲み込みにくくなる、しゃべりにくくなるなどの症状も出てきます。呼吸筋力低下も重症筋無力症の症状のひとつです。
●ライム病
やや聴き慣れない名前のライム病ですが、日本国内では1986年から2014年までに数百人の患者が出ている感染症です。北海道・長野県には患者が多いようです。
ライム病の原因はマダニによる細菌媒介で、具体的には頭痛や発熱といったインフルエンザのような症状からスタートします。
そしてやがては心膜炎や髄膜炎、呼吸筋力低下などの症状を引き起こす危険性も持っています。
抗生剤による治療がライム病の治療としては一般的です。
上記に挙げた病気の他にも呼吸筋力が低下する原因となる病気には肋膜炎、サルコイドーシス、頸部脊椎症、血管炎などがあります。
呼吸筋力測定で調べる『呼吸筋』ってどこにあるの?
呼吸機能検査の一つである呼吸筋力測定では呼吸筋の働きがよいかどうかを調べています。
ではそもそも呼吸筋とはどの辺にある筋肉なのかを見ていきます。
●横隔膜を中心とする呼吸筋
呼吸筋という用語を用いる場合にはさまざまな筋肉がその中に含まれますが、中でも横隔膜は呼吸筋の中心です。
胸の下あたりに位置する横隔膜は、人間を始めとした哺乳類にしか存在しない器官でもあります。
ちなみに、横隔膜が痙攣した状態で出るのがしゃっくりで、これは多くの場合が一時的なものです。
●横隔膜弛緩症などで呼吸がしにくい
横隔膜は呼吸筋の中心ですので、横隔膜に問題があると当然呼吸がしにくくなります。
例えば先天性での横隔膜疾患としてよく知られているのが横隔膜弛緩症です。
横隔膜が動かない病気で、普通にしているときはそこまで息がしにくいわけではないのですが横になると呼吸が苦しいといった症状が出ます。
●横隔膜だけではない呼吸筋
横隔膜弛緩症で横隔膜が動かなくても呼吸が出来るのは、呼吸筋には横隔膜以外のものもあるからです。
例えば内肋間筋、外肋間筋、前斜角筋など10個以上の筋肉が呼吸のために使われています。
安静にしているとき(特に意識せずに呼吸をしているとき)には息を吸う時に筋肉を使い、息を吐くときは肺の自然な動きに任せています。
呼吸筋力測定も含めた呼吸機能検査で必要とされがちな努力呼吸のときには、息を吸う時も吐くときもさまざまな筋肉が使われています。
呼吸筋力測定では呼吸筋の働きを見ていますが、呼吸には横隔膜から腹斜筋までさまざまな筋肉が使われています。
そのほかに肺機能や気道、気管支などの組織も呼吸を支えており、複雑な仕組みから呼吸が出来るようになっています。
(Photo by: [http://pixabay.com/static/uploads/photo/2014/02/23/09/16/man-272675_640.jpg])
著者: カラダノート編集部