健康診断・健康管理
酸素飽和度が低いと一体どんな病気が疑われるの?血液疾患の有無に用いられる検査値を知ろう!
酸素飽和度は血液内にある赤血球のうち、酸素と結合している赤血球の割合です。
酸素飽和度が低いということは体の中に酸素、赤血球のどちらかが足りていないことになります。
一般的には95-97%程度、健康ならたとえ酸素飽和度が低くても90%を切ることはまずないと考えられています。
そんな酸素飽和度が低い、酸素飽和度を測る酸素飽和度モニターで異常が出る場合の原因をいくつか紹介します。
貧血で酸素飽和度モニター値が低くなる!?
酸素飽和度モニター値が低いことで考えられる原因の一つ目が貧血です。
貧血の場合は体の中に酸素があったとしても、それを運ぶ赤血球が少ないです。
酸素飽和度モニターでは酸素と結びついたヘモグロビンの割合を計っているのですが、酸素と結びつく以前にヘモグロビン自体が少ないので、酸素飽和度低下につながります。
末端まで血流がきちんと流れていても貧血になると酸素飽和度は低くなってしまいます。
一刻を争うほど危険な症状というわけではないものの、貧血の背後に隠れているものによっては治療を必要とします。
貧血の原因となる病気・要因
・鉄欠乏(鉄剤や日常生活の見直しで治ることが多い)
・膠原病(早めの治療が望まれます)
・肝硬変や肝がん(すぐに治療しなければいけません)
・大腸がん、胃がん(すぐに治療しなければいけません)
ショック状態で酸素飽和度モニター値が低くなる!?
酸素飽和度モニター値に影響を及ぼす原因のひとつが『ショック状態』です。
これは精神的なショックではなく身体的なショックのことです。
具体的には血圧が低下し、同時に血流も低下することによって全身に酸素が運ばれず、結果的に酸素と結びつくヘモグロビンの量が少なくなる症状です。
ショック状態を引き起こす原因となる状況
・急激な大量の出血(怪我や事故)
・重症な火傷
・心不全の発作
・アレルギー患者が原因物質に過剰反応したとき(アナフィラキシー)
酸素飽和度モニターで異常値が出る場合、ショック症状など見た目にわかりやすいものもあれば貧血など一見するとわかりにくいものもあります。
ショック症状が起きているときには命に係わる可能性もあるので、一刻も早く病院へ運びます。
貧血でも背後に病気が隠れている可能性は否定できないので、内科への受診がおすすめです。
病気でない場合は激しく動いたり、酸素飽和度モニターをつけている場所(人差し指の先が多い)に強い光を当てたりすることも酸素飽和度モニター異常値の原因となります。
電磁波の影響も受けると言われているので、一概に病気・急変で酸素飽和度モニター異常値になるとは限りません。
血液の検査で気になる項目 ヘモグロビン、赤血球、ヘマトクリットの違いとは
貧血が疑われるときには血清鉄の他ヘモグロビンや赤血球、ヘマトクリットなど様々な値を見ます。
このうちヘモグロビン、赤血球、ヘマトクリットの違いは何なのか見ていきます。
ヘモグロビン、赤血球、ヘマトクリット
ヘモグロビンは体内で酸素の運搬をしている物質で、赤血球の中にあります。
ヘモグロビンが入っている存在ですので、赤血球も同じように体内で酸素の運搬を担っています。
このことから、ヘモグロビンと赤血球数には比例が見られることがわかります。ヘモグロビンが多ければ赤血球も多いですし、ヘモグロビンが少なければ赤血球も少ないです。
一方でヘモグロビンや赤血球のように何か働きを持っているわけではないのがヘマトクリットです。
というのもヘマトクリットは血液中にどれくらい赤血球があるかという割合のことで、特定の物質ではないからです。
そのため、赤血球やヘモグロビンは『数』で表されますが、ヘマトクリットは『パーセンテージ』で表されます。
赤血球の容積や色素量、色素濃度で貧血を判定
貧血を判定するときには赤血球の容積平均値、色素量、色素濃度などを求めることが必要です。
このうち色素量と色素濃度の『色素』というのは赤血球の赤い色でもあるヘモグロビンのことです。
例えば赤血球色素濃度と言われたら赤血球の容積に対してどれくらいヘモグロビンがあるかを測るということです。
ヘモグロビンと赤血球はよく似ていますが、違いもあります。
ヘモグロビンは赤血球の中に存在する色素のことで、直接的にはヘモグロビンが酸素を運びますが、それを包み込んでいる赤血球も酸素の運搬にかかわっています。
ヘマトクリットはそれらとはまったく違い、パーセンテージで赤血球の割合を表しています。
検査値を知ろう!赤血球数・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値
赤血球数・ヘモグロビン量・ヘマトクリット値。
これらの3要素は全血球計算と呼ばれ全身性疾患や血液疾患の有無の確認に用いられます。
●赤血球数:赤血球の数。
●ヘモグロビン量:酸素を運搬するはたらきをするヘモグロビンの量。
●ヘマトクリット値:全血液中に占める赤血球の割合。
【基準値】
(赤血球数(万/μL)、ヘモグロビン量(g/dL)、ヘマトクリット値(%))
男性 410~530、14~18、36~48
女性 380~480、12~16、34~43
異常値の場合に予想される疾患
●高値:赤血球増加症(多血症)
●低値:貧血
【貧血の基準になるMCV値】
ヘマトクリット値と赤血球数から平均赤血球容積(MCV)値が算出され、この値を基準にして貧血の種類が分類されます。
MCVが80以下:小球性貧血(鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、炎症による貧血)
81~100:正球性貧血(再生不良性貧血、溶血性貧血、悪性腫瘍による貧血)
101以上:大球性貧血(巨赤芽球性貧血、一部の溶血性貧血、一部の再生不良性貧血)
貧血の種類
●鉄欠乏性貧血
体内の鉄不足によりヘモグロビンが作られなくなり、出血や月経などが原因でよくみられます。
●再生不良性貧血
骨髄が働かなくなることで起こる貧血で、白血球や血小板の数の減少します。
●悪性貧血
赤血球の成長に必要なビタミンB12、葉酸、銅の不足によって起こる貧血で、不足成分を補うことで治療を行います。
●溶血性貧血
赤血球の生産数を破壊数が上回ることで起こる貧血で、遺伝によって生じることが多いです。
ヘモグロビンの役割とその基準値とは?~健康診断の血液検査結果の見方~
ヘモグロビンはたんぱく質の一種で、血液の中にあります。ヘモグロビンの値は健康診断の血液検査で調べます。その働きと基準値について説明いたします。
ヘモグロビンの働き
ヘモグロビンは赤血球に含まれているたんぱく質で、赤い色を作り出しています。ヘモグロビンの働きは酸素を運ぶというものです。酸素を持っていったり、組織に酸素を与えたりして体を適切な状態に保ってくれます。赤血球に含まれているので赤血球の数が多ければヘモグロビンの数も多く、赤血球の数が少なければヘモグロビンの数も少ないです。
ヘモグロビンの基準値
ヘモグロビンの基準値は27-37pgです。pgというのは1gの1兆分の1を表す単位です。
<ヘモグロビンが少ない場合>
ヘモグロビンが少なすぎる場合は赤血球そのものも減っていると考えられます。ヘモグロビンが少ないと酸素を上手に運ぶことができなくなるので貧血になりやすい体質が出来てしまいます。立ちくらみする、朝に弱いという方の中にはヘモグロビン数が足りていない方も多いのです。他に骨髄腫や再生不良性貧血、膠原病などもヘモグロビンが少ないことから予想される病気です。
<ヘモグロビンが多い場合>
ヘモグロビンが多い場合は、やはり赤血球の増加が考えられます。あまりにも赤血球が増加している状態だと、血が濃くなりすぎてうまく流れなくなります。場合によっては脳の血管が詰まって死に至ることもあります。
血液検査の結果の中ではあまり注目しないかもしれませんが、ヘモグロビンの値にも注意を払うことをおすすめします。
(Photo by: http://www.ashinari.com/2012/10/30-372346.php )
著者: カラダノート編集部