健康診断・健康管理
尿pH検査、尿酸値検査の目的とは?尿の酸・アルカリは重要!?尿酸値異常からくる病とは
尿検査において尿pHは項目の一つですが、具体的に尿pHとは何なのか、尿pH検査の目的は何かなど具体的な点についてここでしっかりと勉強していきましょう。
尿pHとは
尿pHのpHとは水素イオン濃度の略称で、酸性度とも呼ばれます。健康な人の体では通常尿は弱酸性に維持されるように調整されます。一日の間でも尿pHは変化し、特に睡眠時には尿は酸性に傾きます。
なぜなら、睡眠中は肺による喚起機能が低下し、起床時よりも多くの二酸化炭素が体内に蓄積されるからです。
また、食事の影響も受けやすく肉などの酸性食品を摂取すれば酸性尿になり、野菜などのアルカリ性食品を摂取するとアルカリ尿になります。そして激しい運動を行うと体内で大量に乳酸が発生し、その影響で尿は酸性に傾きます。
尿pHの基準値とは
尿pHの基準値は男女・年齢で特に区別はなく、正常値の範囲は5.0-8.0となっています。そして、アルカリ尿と診断されるのはpH8.5以上、酸性尿と診断されるのはpH4.5以下とされています。
ただし、正常値の範囲は検査を行う医療機関や測定方法によって異なるので、必ず検査結果を見る際には正常値の範囲は何なのか、確認したほうが良いでしょう。
尿pH検査の目的とは
尿pH検査を行う理由には複数あります。第一に尿のスクリーニング検査がありますが、これは一般的な健康診断が当てはまり、異常値を示していないかどうか確認し、その後の経過観察・精密検査の必要性を判断するための検査です。
第二の目的として各種病気の治療のためにpHをコントロールする目的で行うものです。
とりわけ尿路結石症を患っている患者にとっては、尿pHと密接な関係があるため、定期的に尿pHを計測することが大変重要なのです。
以上のように、尿pHは様々な要因によって変化するものの、様々な目的で尿pH検査をする必要があるのです。
尿pHの正常値範囲は広いんです!尿pHから考えられる病気…痛風、下痢、糖尿病!
小中学校で一度は試験紙に液体をつけて酸性、アルカリ性を調べる理科の実験をやったことがあるという方も多いでしょう。
そのアルカリ性、酸性を測る検査は健康診断の検査項目にもあり、尿のアルカリ性、酸性を測っているのが尿pHというものです。
●尿pHを測る意味はスクリーニングやpHコントロール
尿pHの検査は、単体で病気がわかるほど精度にすぐれた、また細かな部分を検査できるものではありません。
尿pHの検査を元にして尿の異常を早めに感知したり、ほかの尿検査と合わせて病気を予測したりといったことに使われています。
酸性尿が出やすい病気・アルカリ性尿が出やすい病気の患者さんでは、尿pHを測ることによって疾患治療の一環になるケースもあります。
●尿pHの基準は広い!
尿pHの基準値は5.0-8.0程度と言われており、およその基準値ですが大分広めの基準値の取り方をしているのが特徴です。
というのも人間の体のさまざまな部分のpHが変わりやすいのと同じように、尿pHも状況によって変わりやすいからです。
例えば、運動をすると一時的に尿は酸性寄りになりますし、食べ物によっても尿pHが酸性もしくはアルカリ性に傾くことがあるのです。
●尿pHから考えられる病気
尿pHの検査はスクリーニング的な要素が強いことから、尿pH値だけで病気を判断するわけではありません。
参考までに尿pHが酸性になる病気としては痛風、下痢、糖尿病などがあり、尿pHがアルカリ性になる病気には尿路感染症などがあります。
尿pHとは尿がアルカリ性に傾いているか酸性に傾いているかを測る健康診断の検査項目のことです。
多少アルカリ性/酸性に傾いていても健康上問題のないケースが多く、基準値も広めに設定されています。
尿pH値の異常に加えて蛋白尿や血液検査の結果等を見て病気をふるいわけしていきます。
メタボは尿pHに影響を与える要因?!尿pHと尿路結石症の関係性
尿pHは尿検査の項目に含まれている場合がありますが、この値は尿路結石症の原因を究明するため、そしてその治療のために重要です。
ここでは具体的な関係についてより詳しくみていきましょう。
尿pHの値と尿路結石リスクに関係があるか?
尿pHの値は尿路結石リスクとは密接に関係しています。尿路結石に含まれる成分には様々なものがあり、尿のpHの値次第で溶けやすかったり形成しやすかったりするからです。
特にpH6.0未満の酸性尿の場合、形成されやすい結石には、尿酸結石・シスチン結石・シュウ酸カルシウム結石があります。
他方、pH7.5を超えるアルカリ尿の場合、リン酸マグネシウムアンモニウム結石やリン酸カルシウム結石が形成されやすいとされています。
尿酸結石に対して適切な尿pHは何か?
尿路結石には様々な種類がありますが、その中で尿酸結石についてより詳しく見ていきましょう。
尿酸結石に含まれる尿酸はアルカリ性で溶けやすく、酸性では溶けにくいという性質を有しています。
健康な成人が1日に排泄する尿酸の量は無プリン体食下で1日600mg程度といわれています。
尿酸が溶ける量は尿のpHによって異なるため、尿量が1日1リットルで酸性尿の場合、尿酸が析出され尿酸結石が作られるリスクが高まるといえます。
そのため、尿酸結石を予防する上では、尿のpHは6.0-7.0の間にコントロールすることが重要です。
尿pHに影響を与えるのは生活習慣?
近年の研究では尿pHに影響を与える要因として、メタボリックシンドローム・肥満が注目を集めています。
メタボリックシンドロームの関連因子が多ければ多いほど、尿pH値がより低くなるという傾向があり、酸性尿のリスク、そして尿酸結石のリスクを高めないためにも、メタボ対策が重要となるのです。
以上のように尿pHは尿路結石と関係がありますので、自分自身が尿路結石を持っている場合は、合わせて尿pHについても確認しておくと良いでしょう。
尿pHの検査にも使われるpH(ペーハー)って何だろう?
酸性、アルカリ性という言葉は聞いたことのある方も多いですし、酸性雨、アルカリ性食品など日常的にもまま使われる言葉です。
そんな酸性・アルカリ性という概念は人間の生活にも役立っており、健康診断では尿の酸性・アルカリ性を測る尿pHという試験もあります。
そもそもpH(ペーハー)とはいったい何なのかを知っていきましょう。
●pHとは単位のことなんです
pHは水溶液(水に何かが均一に溶かされた透明な液体)の単位のことで、人間の暮らしとのかかわりも深いです。
例えば農産物を作るときには植物の持っている性質に合わせて土壌のpHを測らないと正しく植物が育ちません。
例えばジャガイモやサツマイモなどのイモ類はかなり酸性よりなpH5-6くらいで育ちますが、トマトはほぼ中性に当るpH6.5-7くらいで育ちます。
また、女性の必需品ともいえる化粧品も人間の肌のpHとかい離しないように作られています。
●尿pHは弱酸性?弱アルカリ性?
尿pHの基準値のひとつがpH5.0-8.0くらいで、ほかにはpH4.5-7.5くらいという説もあります。
いずれにしても尿pHはpH4.5から5.0くらいの弱酸性、アルカリ性に傾くときにもpH8くらいまでの弱アルカリ性となっているのが特徴です。
尿pHはその時の体の状態や運動の有無、摂取した食品などによって大きな違いが出ますが、人体から出されるものですので、人体に有害なほど酸性・アルカリ性に傾くことはありません。
pHというのは人間の体液も含めた水溶液の単位のことで、pH0が最も酸性度が高く、pH14が最もアルカリ性度が高いです。
人間の尿のpHは人体に有害なほどの酸性・アルカリ性には傾かないですが、食べたものなどの影響が出やすいです。
pHを使う分野は農産物、化粧品、工業などさまざまです。
痛風だけじゃない!尿酸値が高いときに考えられる2つの病気って?
尿酸は代謝物の一種で、プリン体から作られています。体内のプリン体から作られる尿酸が8割で、残りの2割は食べ物のプリン体から作られています。
尿酸値が高いとまず疑われる病気が痛風ですが、そのほかにも尿酸値が高いことから考えられる病気があります。
●溶血性貧血で尿酸値が上がる!?
溶血性貧血は尿酸値をあげる可能性が高い病気の一つです。
溶血性貧血になると血液中の細胞(溶血性貧血の場合は主に赤血球)が破壊されやすくなり、その結果として代謝物である尿酸も出やすくなります。
溶血性貧血は先天性のものもあれば後天性のものもあり、後天性では自己抗体により自己免疫型の溶血性貧血が代表です。
本来は攻撃する必要のない自分の体を勝手に敵と勘違いしてしまう機構が作られ、その結果自分の細胞を自分で破壊してしまうタイプの溶血性貧血です。
●腎機能障害で尿酸値が上がる!?
尿酸は血液中だけではなく尿から外に出される排泄物という側面も持っています。
腎機能障害になると尿の中に尿酸が排出される量が少なくなり、代わりに血液中の尿酸が増えるのです。
これは腎臓が尿を作り出すときに適切にろ過できていないことが原因です。
腎機能の障害には腎炎などのほか、難病である多発性嚢胞腎もあります。特に多発性嚢胞腎は尿酸値とのかかわりが深い病気です。
尿酸値が高くなっている原因としてはプリン体の多いものを食べた、痛風などを第一に思い浮かべる方が多いようです。
ですが、痛風以外の病気によって尿酸値が上がるケースもけして少なくはありません。
例えば、溶血性貧血、腎機能障害、グルタミン代謝異常症、多発性嚢胞腎などあらゆる病気で尿酸値が高値になるケースがあります。
特に、女性で8.6㎎以上、男性で9㎎以上の場合にはすぐに詳しい検査を受けなければなりません。
尿酸値を正常にするために気を付けたい『プリン体』とその理由、含まれる食品とは?
尿酸値は健康診断の血液検査でわかります。尿酸という言葉から尿に含まれるようなもののイメージがあるかもしれませんが、尿酸は血液に含まれる物質です。尿酸値についてご紹介いたします。
尿酸値が高いとどうなるの?
尿酸は血液中に溜め込める限度が決まっています。その限度を超えると尿酸が尿酸塩結晶という固形物になり血液中を流れます。ちなみに尿酸塩結晶が関節に溜まった状態が痛風と呼ばれる病気です。その他に尿酸値が高い方は溶血性貧血、多発性嚢胞腎、前立腺肥大症などの疑いがあります。基準値上限は7㎎/dlです。
尿酸値とプリン体
尿酸を作り出している原料がプリン体と呼ばれているものです。尿酸値を高める圧倒的な原因になるわけではないものの、尿酸値の元ですから出来ればプリン体は摂取しない方がよいです。プリン体の多い食品を摂取し続けているのであれば食事内容を見直してみてください。
プリン体が含まれる食品
食品100g中におけるプリン体の含有量が最も多いのはあんこうのきもです。100gの中に399.2㎎もプリン体が入っています。他には白子、いわしの干物などにもプリン体は含まれます。身近な食材では鶏肉のささみ、たらこ、納豆などがあります。
プリン体を全面的に摂取禁止というわけではありませんが、尿酸値が高い方は特に毎日のようにプリン体の多い食品を摂取するのはおすすめしません。
(Photo by: http://www.photo-ac.com/ )
著者: カラダノート編集部