不眠・睡眠障害
睡眠導入剤の効果と4つの副作用
なかなかやめられない睡眠薬…ずっと睡眠薬を飲むことになるの?いつがやめどき?
睡眠薬をずっと飲んでいると、このまま一生飲み続けるのかと心配になるかもしれません。
実際のところ一生薬を飲み続ける人はそれほど多くはなく、睡眠薬をストップして正しい眠りを手に入れる方がたくさんいます。
睡眠薬をやめるタイミングについてみていきましょう。
●飲むのを忘れるころが止めどき
薬を始めてから何カ月で止めどきになるのかは、人によって大きな違いが出てくる部分でもあります。症状も薬の量も違うので、一概には言えません。
共通して『止めどき』と言える時期があるとすれば、薬を飲むのをうっかり忘れるころです。
そういえば昨日薬飲み忘れちゃったな、最近薬飲んでいないなと思えるくらいなら、睡眠薬を止めるタイミングに来ています。
●タイミングが来たら医師に相談
薬を飲み忘れる日が多くなったからといって、すぐに薬をゼロにしてよいというわけではありません。
薬をそろそろやめようかなと思えるタイミングになったら、医師の元へ行って指示を仰ぐのが適切です。
一般的には薬を飲む頻度を、1日1回から2日に1回、3日に1回といったように、徐々に減らしていく方法が採用されています。
●薬がなくて不安ならまた飲んでもよい
薬を止めようとしたけどやっぱり不安、止めどきではなかったかなと感じることもあるかもしれません。
実際、自分で飲み忘れていることについてはあまり気にならなくても、いざ薬が減ると不安になる方もいます。
薬がなくて不安になったら、止めどきのタイミングを見誤ったか、止めるスピードが速すぎた可能性があります。
これについても医師に相談して頻度を戻すか、そのほかの治療法などを提案してもらいましょう。
睡眠薬の止めどきは、飲むのを忘れてしまうくらいのころと言われるのが一般的です。
止めどきに必ず止めなければいけないわけではなく、症状に合わせて頓服などの手段を取ることもできます。
睡眠の質を改善する薬はあるの?
睡眠障害を持つ人は5人に1人ともいわれ、かなりメジャーな病気となっています。睡眠障害では薬による治療もおこなわれますがその中には睡眠の質を変える薬も存在します。
●睡眠の質を変える薬とは
睡眠薬は基本的には睡眠を促すもしくは睡眠の質を変えるために用いられます。問題がどこにあるかによって睡眠薬の種類も異なります。
例えば、そもそも睡眠できないというのであれば睡眠を促す薬でないといけません。質のことを考えるのはその後です。
睡眠の質を変える薬を服用する人は睡眠時間に比べて睡眠の質が悪い、特に熟眠感がない場合です。
眠っているはずなのに疲れる、途中で何度も覚醒してしまう場合に睡眠の質を変える薬が用いられます。
具体的には中時間作用型といって眠ってからしばらくして効いてくる薬を使います。
●中時間作用型の睡眠薬に副作用はあるの?
病院へ行って中時間作用型の睡眠薬を飲んで睡眠の質が上がるとしても副作用があまりにも大きいと飲むのをためらってしまいますよね。
中時間作用型の睡眠薬は睡眠の質を上げる代わりに多少の副作用は存在します。
睡眠の質を上げる中時間作用型の睡眠薬の代表でもあるロヒプノールの例を取ればかゆみやのどの渇き、吐き気が副作用の代表です。
2-3日飲み続けても薬に慣れない場合は再度病院へ行って違う薬を処方してもらうなどの対処が有効です。
睡眠の質を変える、具体的には睡眠の質をよくする薬は眠り始めてから3-4時間で効く中時間作用型の睡眠薬です。
中時間作用型の睡眠薬にはかゆみや吐き気、腹痛などの副作用がみられることもあります。
睡眠薬の種類によって、飲むタイミングに違いはあるの?就寝前20-30分でもOKです!
睡眠薬には短時間型、中時間型、長時間型という3つの種類があります。それぞれの効き方と、飲み方・タイミングの注意点を紹介します。
●基本的にはすべて、起床8時間前
短時間型、中時間型、長時間型のどの睡眠薬であっても、基本的には、すべて起床8時間前に飲むのが、ベストなタイミングです。
短時間型の睡眠薬は睡眠導入を助け、中時間型や長時間型は中途覚醒・早朝覚醒など、睡眠後半の眠りを助けています。両方とも使う場合がありますが、いずれにしても起床8時間前までに飲んでおけばOKです。
●就寝前20-30分でもOK
起床8時間前のタイミングの他に、すべての睡眠薬において、就寝20-30分前のタイミングもベストと言われています。特に、短時間作用型の睡眠薬は睡眠導入を助けてくれるので、就寝20-30分前に飲むことでスムーズに眠りに入ることが出来るのです。
中時間型や長時間型の睡眠薬にも言えることですが、就寝20-30分前は短時間型睡眠薬の服用タイミングとして、特に重要なポイントとなります。
●飲むタイミングを指示されたらその通りに
起床8時間前、就寝20-30分前が、睡眠薬服用タイミングの基本ですが、医師から別途指示があった場合はそれに従ってください。医師に睡眠薬をもらったとき、いつ飲めばいいのか、睡眠時間はどれくらいなのか、作用時間はどれくらいなのかを確認しましょう。
作用時間が睡眠時間を大幅に超えてしまうようでは、睡眠薬の作用が起きてからも続いてしまうので注意が必要です。
睡眠薬を飲むタイミングは、短時間型でも中時間型でも長時間型でも変わりはありません。ただし、これはあくまでも『基本的には』の話であって、症状によっては医師から指示があると思うので、それにしたがって飲むのがベストです。
睡眠導入剤の4つの副作用
睡眠をサポートしてくれるのが睡眠導入剤です。
睡眠導入剤を利用した薬物療法と生活療法によって、睡眠障害の治療が行われます。
ただし、睡眠導入剤は薬剤ですので副作用もあります。
睡眠導入剤の4つの副作用を見てみます。
●持ち越し効果
睡眠導入剤の効果が翌日の朝、昼まで持ち越してしまう副作用です。
朝の寝起きが悪くなった、朝になってもボーっとしてなかなか動くことができない場合には、持ち越し効果が現れている可能性が高いです。
また、朝にめまいが起きるということもあります。
持ち越し効果によって日常生活に影響が出ている、もしくは影響が出そうだと感じた場合は、医師に相談してください。
●筋弛緩作用
ふらつき、体に力が入らないといった副作用です。
持ち越し効果と合わさると、朝になっても力が入らないという問題が起きます。
●健忘
睡眠導入剤によって健忘が起こることもあります。
とはいっても、日中の活動に対する健忘はありません。
夜、トイレなどで目覚めたときのことを覚えていない、服用直後のことを覚えていないといった程度です。
●反発性不安
睡眠導入剤によって眠れている、と強く感じると、断薬したときの不安が大きいです。
これを反発性不安と呼んでいます。
反発性不安によって自律神経系が乱れたり、大きな心理的負担を感じると、以前よりもひどい不眠になることがあります。
これを反発性不眠と呼んでいます。
反発性不安や反発性不眠は、断薬のペースを変えたり、不安や不眠との付き合い方を変えることで改善される場合も多いです。
新規睡眠薬「ベルソムラ」は、ベンゾジアゼピン系薬のような耐性・依存性が生じない安全な薬?
昨年11月に睡眠薬の新薬「ベルソムラ」が発売となりました。
ベルソムラはこれまでの睡眠薬の主流であった「ベンゾジアゼピン系薬」とは全く異なる機序で睡眠導入を促すため、依存や耐性の問題がなく、また長期服用でも認知症のリスクに問題がないものと考えられその効果に期待がもたれています。
ベンゾジアゼピン系薬は、長期使用で奇異反応・認知症のリスクがある
「ベンゾジアゼピン系薬」は、鎮静系イオンの神経細胞への流入を増やし、不安を沈め睡眠を促す作用がある薬です。向精神病薬の中でも軽い使用感で扱いやすく、一見目立った副作用もないため国内では不安障害や不眠症に対して気軽に処方される傾向にあります。
ただ、精神科医の神田橋医師によれば「慢性酔っ払い状態になる」と形容されるように、脳の前頭葉や海馬・扁桃体の働きを低下させる作用があり、それによって認知機能低下や(長期服用で認知症のリスク)、奇異反応・反跳現象という症状悪化が生じる可能性があります。
ベンゾジアゼピン系薬の問題点
・耐性ができ、服用量を増やさなければ効果を感じられなくなる
・依存性ができ、薬をやめることができなくなる
・奇異反応や反跳現象などの悪化を起こす可能性がある
・ノンレム睡眠を導入しない(レム睡眠導入となり、自然な眠りとは言えない)
・海馬の活動を抑制するため、長期使用で認知症のリスクが増加する
このように、ベンゾジアゼピン系薬の長期服用は出来る限り行うべきでない、と考えられています。
ベルソムラの利点
ベルソムラは「オレキシン受容体拮抗薬」という種類の睡眠薬で、その作用機序は視床下部の覚醒中枢を抑えるというもの強制的に睡眠導入はせず、自然に眠りに入りやすい状態にするというものです。
オレキシンとは、神経伝達物質の一種であり覚醒させる作用があります。「ナルコレプシー(過眠症)」の患者さんの9割は、オレキシン分泌が不充分であることが原因であるという報告もあり、この逆の機序により睡眠を促しているとも言えます。
ベルソムラの安全性
ベルソムラは、まだ発売されて1年程度しか経過していないため臨床データが少なく安全性に不安があるという声があります。
・効果持続は7時間を越えない
・使用後9時間の時点での認知機能の低下はなかった
・効果は30分以内に出始める(食後すぐの服用を除く)
・常用量は、65歳未満で1日20ミリグラム、65歳以上で1日15ミリグラム
・アメリカFDAでは10mgからの開始を推奨している(ただ、半錠線がついていない)
・20mgでは日中の眠気・運転への支障への安全性が確認されていない
・CYP3A4を強く阻害する薬との併用は禁忌。
・オレキシンが活発にことによる不眠症には高い有効性
■ベルソムラの臨床試験をまとめたレビューでは、睡眠潜時の短縮が約6分認められた
(the International Journal of Clinical Practice誌のレビュー)
【試験内容】
2種の第3相臨床試験のまとめ(3ヵ月間のベルソムラと偽薬の比較試験)
【結果】
・偽薬との比較において、有意に眠りに入るまでの時間(睡眠潜時)を短縮し、総睡眠時間を増加させた。
・偽薬との比較では、睡眠潜時の短縮は約6分程度だった。
⇒3ヵ月の継続使用では、さらに時間の短縮が認められたが、偽薬においても同様の傾向が認められた。
⇒ただ、他のマイスリー10mgの臨床試験では睡眠潜時の短縮は約20分であった。
このように、現時点ではベルソムラの効果はベンゾジアゼピンと比較して、かなり弱めの効果であるとされていますが、ただロゼレムとの併用も可能であるため、この2剤の効果を併せるといくらか効果は改善される可能性はあります。
ただ、併用の際には他の薬にCYP3A4代謝酵素阻害剤が入っていないかは十分注意することが必要です。
40年以上も前から行われている睡眠障害の治療方法「断眠療法」効果は?注意点は?
40年以上も前から行われている睡眠障害の治療方法が断眠療法というものです。
●断眠療法とは
断眠療法は、眠らせないという治療方法です。
断眠療法は全断眠、夜間後半部分断眠、夜間前半部分断眠、選択的REM断眠という4つの方法があります。
このうち、選択的REM断眠以外の方法は一般化されています。
全断眠とは、普段なら寝る時間であっても断眠、つまり眠らないで過ごすということです。
夜間後半部分断眠では、眠る時間は同じですが途中に起こされます。
夜間前半部分断眠では、眠る時間を遅くしますが起きる時間は同じです。
●断眠療法の効果は?
断眠療法の効果が最初に証明されたのは1970年代のことです。
断眠療法は、即効性があることで知られています。
断眠をした次の日から症状の改善がみられることも多いです。
また、薬を飲むわけではないので、副作用がほとんどないのも断眠療法ならではの特徴です。
断眠療法は、うつ病の治療薬と比べても遜色ないほどの有効率があるようです。
●断眠療法の注意点
断眠療法では、回復睡眠に注意が必要といわれています。
昨日断眠した分昼間に寝てしまう、断眠した分を取り戻すように睡眠時間を増やしてしまうと、断眠療法の効果が出なくなったり逆効果につながることもあります。
こういった回復睡眠を防ぐ方法、断眠療法の効果を上げる方法はヨーロッパではすでに実用段階に入っています。
例えば、断眠療法の後の就寝時間を早めにすると断眠療法の効果を無駄にせず、回復睡眠の問題も解消できます。
断眠療法をより効果的に行うには、光療法との併用が望ましいといわれています。
日本ではまだ断眠療法を受けられる施設は少なく、断眠療法の実用的な治療としての位置も確立されていません。
断眠療法は、残念ながら一人で自宅で行えるものではありません。医師の指導のもとで行うようにして下さい。
睡眠導入剤(アモバン・ユーロジン)を飲んでいます
私の体験談です。
軽度のうつ病で、心療内科にかかっていました。
現在『朝起きると疲れている』『どうも歯ぎしりをしているらしい』ということで睡眠導入剤を処方してもらっています。内容は以下の2種類。
<<アモバン>>
医師の説明
眠りに入りやすくする。緑内障はありませんか?と聞かれました。
(その時点では先生から緑内障と薬の関係についての説明はありませんでした)
自分でもアモバンについて調べてみました
狭隅角緑内障の場合緑内障を促進させることがあるようです。
深い眠り(ノンレム睡眠)に効果があるということがわかりました。
眠っても疲れが取れないというのが主な症状なので、眠りが深い眠りにつかせてくれるよう処方されたのでしょう。
副作用
苦い、ふらつき、使用時における記憶障害
これはありました。飲むのに困るほどではありませんが、苦味がありました。飲んでしばらくして立ち上がってふらふらっていうのはあります。
あと、薬を飲んでリビングで寝てしまったことがあります。寝心地が悪いので1~2時間で目が覚めますがリビング~寝室に行った記憶がないとか。話をした記憶がなくて翌日こまったとか。
ちゃんと注意はあったような・・・用事は済ませてから飲んでくださいと。
<<ユーロジン>>
医師の説明
アモバンを処方された後、朝早くに目が覚めてしまうと先生に相談して処方してもらいました。
自分でもユーロジンについて調べてみました
深い眠り(ノンレム睡眠)には効果はなく、睡眠作用は早くでてきます。
効果は8時間くらいということなので、朝早くに目が覚めてしまう症状には効果的でした。
副作用
ふらつき、急に使用を止めることによる反発不眠
まだ、止めてないので自分ではわかりませんね。医師の指示に従って減量していけばと思います。
これは個人的なあくまで体験談です。効果・副作用にも個人差があります。人それぞれ、症状や辛さがあると思います。
同じように、睡眠導入剤を使用している方・これから使用する方の参考になればと思います。
(Photo by:pixabay )
著者: カラダノート編集部