メンタル
食べ過ぎ、寝過ぎはうつ病かもしれない!?冬季うつ病とうつ病の2つの違い
うつ病とは、憂鬱で元気がなくなる症状が出る病気で、日本人の5人に1人がかかるとも言われています。
冬季うつ病は、冬季のみうつ病になる病気で、春になると自然に回復し、夏には軽く躁状態になるのも特徴です。
そんな冬季うつ病ですが、うつ病とは大きく違う点が2つありますので、チェックしてみましょう。
●冬季うつ病は過眠がある
一般的なうつ病の場合は、不眠の方が多いです。夜眠れなくなり、そのうち昼夜逆転してしまう方も多くいます。
一方で冬季うつ病の場合には、不眠よりも過眠の方が多いです。寝ても寝ても足りないと感じるくらい、よく眠るようになります。
人によっては1日10-12時間以上寝続ける場合もあり、過眠が仕事に及ぼす影響も多くあります。
●冬季うつ病は過食がある
冬季うつ病のもうひとつの特徴は、過食があるという点です。うつ病では食欲がなくなることが多いのですが、冬季うつ病だと食欲が出ます。
ただし、食べてすっきりする、満足するということはなく、食べても食べても元気が出ない、満足よりも罪悪感が強いのが、冬季うつ病の過食ならではの特徴です。
冬になると急激に体重が増えることが多い方は、冬季うつ病の可能性もあります。
●気分の落ち込みはほぼ一緒
冬季うつ病でもうつ病でも、気分の落ち込みという観点においては、さほど症状の違いはありません。
生きていてもむなしくなる、元気がなくなる、憂鬱になる、孤独を感じるといった心理的な症状が出てきます。
冬季うつ病の治療では、冬に足りなくなりがちな光を当てる治療が採用されることもあります。
強い光を当てることで、安心物質であるセロトニンを増やし、冬季うつ病の各種症状の改善を図ることが可能となっています。
毎年秋に憂鬱になる方は要注意!冬季うつ病の患者が出てくるのは秋からです!
うつ病には、季節性の冬季うつ病というものもあります。これは秋から冬にかけて憂鬱になり、うつ病の症状が出る病気です。
過眠、過食といったように、一般的なうつ病とはちょっと違う症状もあるのが、冬季うつ病ならではの特徴です。
●冬季うつ病スタートは10月くらいから
日照時間がもっとも短くなるのは12月の終わりごろの冬至ですが、冬季うつ病はその前から始まっています。
大体の目安とはなりますが、10月くらいから冬季うつ病で病院を訪れる患者さんが増えてくるようです。
10月と言えば、秋の夜長は感じられても、まだまだ本格的な冬とは感じない時期ですが、冬季うつ病のことを考えるなら十分注意が必要です。
早めの対策なら、9月くらいから冬季うつ病対策に乗り出してもよいくらいです。
●寒冷地、女性は要注意
冬季うつ病は光との関連性が強いので、光が弱い地域ではよくある病気です。晴れの日が少ないイギリス、高緯度にある北欧では、冬季うつ病がよく見られます。
日本で言えば、東北地方や北海道は日照量が少なくなりがちなので、注意が必要な地域です。
また、冬季うつ病は女性の方がかかりやすい病気で、男女比率で言えば、女性の患者数は男性の4倍です。
一般的なうつ病でも女性の方がかかりやすいですが、男女比は男性1に対して女性が2ですので、冬季うつ病の方が女性の割合が多いです。
毎年秋から冬にかけては憂鬱、だんだん気分が落ち込んでくるという場合は、9月頃から積極的に太陽の光を浴びるように心がけてください。
冬至に向けて太陽は徐々に弱くなり、日照時間も短くなるので、場合によっては病院での光療法を受けるのも良いでしょう。
過眠や過食が、毎年冬に出ている場合には、一度病院を受診してください。
季節によって眠りやすさは全然違う!過ごしやすい秋…実は過眠になりやすい季節だった!?
季節ごとに睡眠の量や質、眠りやすさには少しずつ違いがあると言われています。
例えば春眠暁を覚えず、といった言葉のように、春には眠くなる方が多いでしょう。
秋の場合は睡眠環境、睡眠に関する体の変化など、どんなところに特徴があるのかを見ていきましょう。
気温は過ごしやすく、不眠の可能性は低い
秋は気温という観点から見てみると、不眠になる要素はそれほど多くはありません。
冬になると寒さから眠りにくい、寒さからくる頻尿で起きてしまうなどの問題がありますし、夏は暑くて寝苦しい問題があります。
それに比べると、秋は過ごしやすく、暑くも寒くもないので、眠りのためにはちょうどよい季節と言えるでしょう。
冬季うつで過眠が始まりやすい季節
一方で、秋の気候の特徴として、冬に向けて徐々に日差しが弱くなり、日照時間が短くなる問題も挙げられます。
これによって徐々に体内のセロトニン量が減り、冬季うつ病(季節性うつの一種)になるリスクが上がってしまうのです。
そのため、冬季うつの代表的な症状である過眠が、秋頃から見られる患者さんもいるようです。
秋も春同様、眠くなりやすいと知る
陽ざしが弱まることは、すべての人間のセロトニン量に多少なりとも影響を与えます。
ですので、日差しが弱まるにつれて眠くなりやすい、少々気分が落ち込みがちになることは、秋や冬ならではの眠りの特徴のひとつと考えておきましょう。
大事なことは、これらの特徴に対してどのように対処するかということです。
秋の眠りは、環境的にはかなりベターな形となっていますが、冬季うつの始まりに当たることから徐々に過眠傾向が強くなります。
冬季うつ病の予防のために、夏の終わりから精神状態はもちろん、体の状態も整えておくとよいでしょう。
日中が何だか眠たい…秋に○○な過眠症状がでたら「季節性うつ」の症状かもしれません
睡眠障害というと、「眠れない」というイメージがあるかもしれません。
ですが秋はその逆、「日中に過度に眠くなる」という症状に注意する必要があります。
過眠とはどんな症状?
日中に眠たくなるという経験は、誰しもがあると思います。
前日の睡眠時間が短かったり、肉体の疲労が多かったりする場合には、日中に眠気が襲って来たり、集中力が低下することはあります。
ですが、この日中の眠気や集中力の低下が何日も継続し、勉強や仕事に支障をきたすようになると、それは病的な眠気ということになります。
秋にこんな過眠症状が出たら、精神疾患の可能性
精神疾患の睡眠症状として見られるのは、多くが不眠の症状です。そのため過眠の症状が出ても、なかなか精神疾患と結び付けて考えることができません。ですが、精神疾患の睡眠症状の中には、過眠型の症状もあるのです。
実際に、気分障害においてもこの過眠症状が見られ、うつ病、特にうつ状態と躁状態を繰り返す双極性うつにおいて、過眠症状がよく見られるそうです。
中でも、過眠症状が見られるうつの代表とも言われるのが、季節性のうつ病です。季節性のうつ病というのは、秋から冬の日照時間が短くなる時期にかけて、あらわれるうつ病です。
季節性うつは高照度光療法で治療
季節性うつの有効な治療法と言われているのが、高照度光療法です。
これは蛍光白色光を、1日1回、1回あたり2~3時間照射するという治療法です。光を浴びることによって、覚醒と睡眠の生体リズムを明確にし、生活リズムを刻めるように活性化させるというものです。
季節性のうつにはこの治療法が有効で、多くは3日~1週間程度治療を続けることで、過眠症状などが改善されていくそうです。
春の場合、「春眠暁を覚えず」と言われるように、眠さをいつもより多く感じる人が増えても、あまり気にしないかもしれません。ですが、秋の過眠症状が出た場合には、ちょっと注意が必要かもしれません。
太陽を浴びるだけでも効果あり!「冬季うつ症状」を高照度光療法で改善!※専門医コメント有
冬になると、いつも眠いし、食事やおやつを食べ過ぎてしまう…という方は、冬に起きやすい「うつ」になっているかもしれません。冬はいつもこうだからと諦めていた方、これらの症状は改善できるんです!
ここでは最近注目されている高照度光療法についてご紹介します。高照度光療法について精神科医の仮屋暢聡先生からもコメントを頂きました。
■セロトニン不足により起こる冬季うつ
通常、太陽の光を浴びると、目から脳に信号が伝わりセロトニンという脳内神経物質が分泌されます。セロトニンはメラトニンというホルモンの分泌を抑制します。
このメラトニンの抑制により、睡眠、覚醒などの生体リズムを整える体内時計を毎日リセットします。
また、セロトニンは食欲の抑制にも関与しています。セロトニンが足りなくなると視床下部にある満腹中枢が刺激されず、満腹感を得られなくなり過食が起こります。
冬になり日照時間が短くなるとセロトニンが分泌されにくくなり、その結果、様々な体の不調が現れる場合があります。
■強い光を定期的に浴びることがポイント
冬季うつを治療するためには、セロトニンを増やし体内時計を元に戻すことが重要です!そこで注目されているのがこの高照度光療法です!高照度光療法とは、強い光によって体内時計を整え不調を改善していく治療法です。
朝起きてすぐに2,500ルクス以上の光を目から取り入れることで、セロトニンが増え体内時計をきちんとリセットすることができます。
ただし、2,500ルクスの光では2時間以上当たらないといけないため、通常の専用の機器を使用した治療では5,000~10,000ルクス程度の光を30分~1時間程度浴びます。
光は午後よりも午前中に光を浴びるほうが効果が出やすいとされています。
(太陽を直視しないように注意しましょう)
■太陽光が良いと言われるワケ
家庭にある光で多いのが蛍光灯ですが、蛍光灯は400ルクス程度で、治療には到底足りません。
また、専用機器を使うとなると、3万~4万円前後費用がかかるということもあり、抵抗感をもつ方もいらっしゃるかもしれません。
外に出るのが苦にならないのであれば、是非太陽光に当たることをおススメします。太陽の光は晴れていれば32,000~100,000ルクス、曇りの日でも10,000ルクス、雨が降っていても5,000ルクスはあると言われています。
そのため、特別な機器を使わず、朝起きて、まずベランダに出て朝日を浴びるだけでも十分な効果があると言えます。
■体内時計をリセットして眠気や食欲をコントロール!
光を浴びて体内時計がリセットされると1日の眠気が丁度よくなるようにコントロールされます。
・1日を快適に過ごせる!
光を浴びた後はセロトニンが分泌され、メラトニンの分泌を抑制し眠気を抑えてくれます。そして、その14~16時間後に暗くなると、メラトニンの分泌が促進され眠気がくるようになります。
朝、光を浴びることで眠気をコントロールし、1日を快適に過ごせるようになります。
・過食を防げる!
また、脳内でセロトニンがきちんと分泌されるようになると、満腹中枢が刺激され満腹感を得られるようになり、結果、過食を防ぐことができます。
朝起きたら光を浴び、夜は暗くして寝るということを習慣にするだけでも、体内時計は日々リセットされ毎日を快適に過ごせるようになります。
冬季うつの症状が思い当たる方は、明日から試してみませんか?
<仮屋先生のコメント・見解>
冬は四季のなかで日照時間が一番短くなる季節です。そのため体内時計が狂ってしまい、セロトニンやメラトニンといったホルモンの分泌が減少してしまいます。
冬季うつ病は体がだるかったり、やる気が起きないといった通常のうつ病と同じ症状に加え、先述されている「過眠と過食」が典型的な症状となります。
夕食後、少し時間が経つとお腹が減って、つい夜間に過食していませんか?
また、うつ病になると睡眠障害を合併することは少なくありません。
それを防ぐためにも、朝カーテンを開けて太陽の光を浴びることはとても大切です。
出来れば、窓を開けて外気を大きく吸い込み、深呼吸をしましょう。もちろん、朝ちゃんと起きるために目覚ましをセットすることも忘れずに。
新宿メンタルクリニック
-磁気刺激治療によるうつ病治療-
(Photo by:pixabay )
著者: カラダノート編集部