育児
子どもの巨人症・先端巨大症
成長ホルモンに関係した病気と言えば、成長ホルモンの分泌不全で平均身長を大きく下回る低身長症が代表的ですね。しかしその逆の巨人症という病気もあります。今回はその巨人症についてご紹介します。
巨人症とは
巨人症とは名前の通り、異常なまでに背が大きいことです。人によっては2mを超えることもあります。
両親の身長や親族の遺伝などを踏まえた上で、子どもの身長が平均身長よりも明らかに高い場合(男子で185㎝以上、女子で175㎝以上、もしくはそうなりそうな場合)は、巨人症の可能性があるかもしれません。
低身長の場合は成長ホルモンが分泌されないのが原因ですが、巨人症の場合は成長ホルモンが過剰に分泌されるため、どんどん身長が伸びていってしまうのです。
先端巨大症とは
先端巨大症は、手足や鼻、唇など、身体の一部分が大きくなってしまう病気です。
顔つきや手足などに特徴的な身体の変化が見られるだけでなく、頭痛がしたり、視野が狭くなったりすることもあります。
巨人症や先端巨大症の原因
先端巨大症も巨人症と同じように成長ホルモンの過剰分泌が原因ですが、骨端線とが閉じていることによって手足などの一部だけが大きくなってしまうのです。
ちなみに骨端線とは骨の先にある未熟な軟骨部分のこと。通常、骨端線は幼少期から思春期後期頃まで開いています。
そのため子どもの場合は、成長ホルモンの過剰分泌はこの骨端線にも作用するため、体の一部分ではなく、全体的に異常に成長する巨人症を発症することが多いと考えられています。
巨人症・先端巨大症の特徴
巨人症や先端巨大症には様々な特徴があります。
巨人症の特徴
・身長の顕著な増加
先に述べた通り、身長が顕著に伸びます。同年代の子供たちの平均身長をはるかに超える伸び率のため、巨人症の最もわかりやすい特徴と言えるでしょう。
先端巨大症の特徴
・手足の巨大化
手足だけが大きくなります。指輪がはめられなくなった、手袋や靴のサイズが合わなくなってきた、というような症状が出てきた場合、先端巨大症を発病しているかもしれません。
・顔貌の変化
眉弓や頬骨、顎の突出によって顔つきが変わります。
共通の特徴
・舌の巨大化
舌が大きくなるため、喉がふさがれて睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。
・顎の突出
骨の発達が促進されることで、顎が肥大化し、突出します。それに伴いかみ合わせや歯並びが悪くなることも。
・鼻や唇の肥大
他と同じく部分的に大きくなります。しかし、時間をかけて少しずつ肥大するため本人や毎日顔を合わす家族などは変化に気づきにくい。
・眉弓部の膨隆
眉弓部とは眉の部分の弓のような弧を描いている骨のあたりを指します。ここが大きく膨れ上がると、堀が深くなるような顔つきに変化します。
・心臓の肥大
心臓が肥大することで機能が損なわれる可能性もあります。その場合は心不全を起こすことも。
特に一部が大きくなる場合はその変化に伴った症状が現れることがあります。例えば、舌の巨大化で喉がふさがれるため、睡眠時無呼吸症候群なる、顎が突出するため、噛み合わせが悪くなる、といった風に様々な弊害が各部位で起こります。
また、手足などの場合は肥大した組織が神経を圧迫することで、脱力感が生じることもあります。
神経が圧迫されることで起こりうる、視野障害や頭痛、高血圧、発汗の増加などといった症状も巨人症や先端巨大症の特徴と言えるでしょう。
巨人症や先端巨大症の治療法
現在、もっともよい治療法として考えられるのが手術で原因である脳下垂体の腫瘍を取り除くことです。手術によって成長ホルモンの産生が減少します。しかし、発見時に腫瘍がかなり大きくなっている場合は手術だけでは治療できません。
そのため、手術後後にまだ成長ホルモンが過剰な場合は成長ホルモンの量を減らす薬物治療が行われます。手術が難しいケースや手術を希望しないケースも薬物治療を行います。
放射線治療を行うことも
手術や薬物療法でも治療結果がよくないときは放射線治療(サイバーナイフ、ガンマナイフなど)を行います。しかし、放射線療法はすぐに効果が得られる治療法ではありません。効果を十分に得られるまでに数年かかることもありますし、他の正常な組織も影響を受けて副作用が出る可能性もあるため、フォローアップ治療として行われます。
身長の伸び幅に注意
わが子の背が伸びないことを気にする親御さんは多いのですが、平均より背が高いことは意外と気にならないもの。
しかし、遺伝的要素もなく、子供の背が高い場合はもしかすると巨人症の可能性があります。
成長のスピードは個人差が大きいものですので、常に平均身長との差に一喜一憂をする必要はありませんが、極端な成長による異常が見られたらまずは病院で診察してもらいましょう。
(Photo by:https://www.photo-ac.com/)
著者: カラダノート編集部