育児
先天性心疾患「両大血管右室起始」新生児期からチアノーゼや呼吸困難に…
「両大血管右室起始(りょうだいけっかんうしつきし)」は、赤ちゃんの先天性心疾患のひとつです。
先天性心疾患全体の約1.5%を占め、女児よりも男児に多く見られるといわれています。
両大血管右室起始は非常に個人差のある病気で、患者ひとりひとりに対し、症状のあらわれかたや治療方法もそれぞれさまざまです。
今回は、そんな両大血管右室起始について、その特徴やおもな症状をまとめてみました。
両大血管右室起始とは
通常であれば肺動脈は右心室から出て、大動脈は左心室から出ています。
この両方の大血管がどちらも右心室から出てしまっている状態を「両大血管右室起始」と呼びます。
心室中隔欠損を必ずともなっているのも特徴のひとつです。
心室中隔欠損の起こる場所によって血液の流れかた、手術の方法、またその手術の困難さなどがそれぞれ異なってきます。
両大血管右室起始の症状
肺への血液の流れかたによって、症状のあらわれかたも異なります。
肺に血液が多く流れてしまうタイプの場合、呼吸困難や肺の痛みがあらわれます。
血流が少ない場合にはチアノーゼが出て、慢性的に酸素不足に陥ります。
多くの場合、新生児期からチアノーゼや呼吸困難、心不全を起こしやすいようです。
両大血管右室起始の治療方法
まず、心臓を四つの部屋に区切りなおし、正常な状態に戻すことが可能かどうかという点が重要となります。
可能であれば、それを実現するための手術を行います。
難しいようであれば、長期的に治療計画を立て、最終的には静脈血を肺に送り込めるようにするフォンタン手術という手術での治療を目標とします。
患者それぞれにあった治療計画を
症状のあらわれかたや行う手術にもかなり個人差のある病気のため、基本的には赤ちゃんの成長の過程でさまざまな判断を行いながら、治療計画を立てるといった形になります。
手術ひとつとっても手術が可能な年齢や体重があるため、すぐに根治となるケースはあまり多くありません。
医療機関と相談しながら、あせらずにじっくり根治を目指すことが大切なのです。
(Photo by:写真AC )
著者: カラダノート編集部