メンタル
言動、行動がおかしいと感じたら…もしかしたら統合失調症!?統合失調症による自閉症状
お子さん、兄弟、親、友人などが最近おかしな行動を取るとか、おかしな言動をするようになったと感じたら、もしかしたらそれは「統合失調症」という精神病かもしれません。統合失調症は別名「精神分裂症」と言います。
どうして統合失調症になるの?
統合失調症の原因は未だ解明されていませんが、脳内神経伝達物質である「ドーパミンの分泌異常」が原因だという説が今のところ濃厚です。
ドーパミンとは
神経を興奮させ、快感陶酔感を与えます。また、攻撃性、創造性、運動機能などを調整する働きがあります。
統合失調症の発症時期
80%の方が主に青年期(10代後半~30代半ば)に統合失調症の典型的な発症が見られます。10%~20%の割合で小児期や老年期での発症が見られます。
統合失調症の特徴と症状
・自らが精神病であるという認識に欠けている
・妄想と現実を同一化する
・幻覚が見える(幽霊が見えるなど)
・支離滅裂な会話をする
・会話の途中で脱線してしまう
・支離滅裂な行動をする
・思考障害(※ノイローゼや思考異常)
・意欲の欠如
・無感情
・注意障害(※注意力が低下していつもぼ~っとしている、呼んでも返事がない、物事に集中することができない)
・社会的ひきこもり
治療方法は?治るの?
統合失調症は自然に治る病気ではありません。精神科のある病院で治療を行わなくてはなりません。
・薬物療法
・精神科リハビリテーション
・カウンセリング
などの以上の3つを組み合わせて行うのがベストです。きちんとした治療を行えば必ず治る病気です。
※統合失調症における治療は、早期の抗精神薬の投薬が鍵となります。
統合失調症を発症している方の多くは、自らが精神病だという認識に欠けており、治療を拒む場合が多いと言われています。
治療を拒んだ時に大切なのが家族の対応です。無理やり病院へ連れていってはいけません。訳の分からない事を言ったり、理解できない行動をしたからと言って怒ってはいけません。
まずは家族の方が病院へ足を運び、医師に相談しながら治療方針を決めていく事をオススメします。
統合失調症の種類
統合失調症というのは、原因不明であり脳の代謝異常による精神面でのバランスが崩れ、情動が不安定になる症状であり、その症状によって種類が分けられています。
幻覚や妄想などの症状が中心なら妄想型であり、身体の姿勢や筋肉の硬直、興奮などの症状が強い緊張型など様々です。
これは神経伝達物質の一つであるドーパミンが不具合を起こしたためであり、それに関わるあらゆる症状が考えられます。
統合失調症の種類
●妄想型
自閉や連合障害などの基礎症状が少なく、妄想や幻覚が中心となる統合失調症。
●破瓜型
思春期、青年期に後発する統合失調症。
連合弛緩などの連合障害が主な症状。
思考や行動に影響が出る。
●緊張型
筋肉が硬直症状を起こし、姿勢が不自然な姿勢となりやすい。
興奮や昏迷などの症状がある。
●識別不能型
一般的な基準を満たし、妄想型や破瓜型、緊張型などの型に当てはまらない統合失調症。
●単純型
連合障害、自閉症の基礎症状が主な統合失調症。
幻覚症状などはわずかな、破瓜型の亜種。
●その他
統合失調症後抑うつ、残遺型、急性統合失調症性エピソード、体感症性統合失調症、遅発性統合失調症、統合失調症様状態など
統合失調症の種類は非常に多く、それだけ症状の数が多く、多様な型を持った疾患であると言うことです。
そのため、統合失調症に対する理解は非常に浅くなり、社会の理解がたりない状態です。
妄想や情動が不安定になるなど社会活動に大きく影響を与える疾患であるだけに、これからの社会での理解が深まることが必要とされています。
統合失調症の症状
統合失調症には、脳の機能である思考に大きく影響を与える症状が出ます。
思考は当然、人間の行動に大きく影響を与え、それは周囲の社会との関係にも重大な影響を与えてしまいます。
思考の過程や内容が乱れ、幻覚などの五感の知覚障害が出るとそれだけで通常の行動ができなくなることは想像に難くないでしょう。
そしてそれらの症状はそれだけではなく、被害妄想のような自我意識の障害にまで及ぶのです。
ここまで来ると社会的な行動を行うことはほぼ不可能となるでしょう。
社会性を取り戻すための治療と訓練が必要となります。
統合失調症の症状思考における障害
1.思考過程の障害
2.思考内容の障害(妄想)
3.知覚の障害
4.自我意識の障害
●考想操作
他人の考えが入ってくると感じる
●考想奪取
自分の考えが他人に奪われていると感じる
●考想伝播
自分の考えが他人に伝わっていると感じる
●考想察知
自分の考えは他人に知られていると感じる
妄想や幻覚、思考の混乱、そして被害妄想と、統合失調症を発症してしまった人は、それまでの人間関係に例外なく大きな損害を与えてしまいます。
本人に悪意がなく、脳の疾患によるものであっても、その結果を回復するのは非常に困難です。
統合失調症に対する偏見も強く、治療が終わったとしても再び元の人間関係を取り戻す事は難しいでしょう。
統合失調症に関する治療は、実際の治療やソーシャルスキルのトレーニングだけでなく、受け入れる側の、社会での統合失調症への理解度を高めることが必要とされているのではないでしょうか。
統合失調症による自閉症状
統合失調症には表だった妄想や幻覚、疑心暗鬼などだけでなく、自閉症のような陰性の症状もあります。
思考が混乱し、感情が不安定になるだけでなく、その感情の働き自体が平坦化し、外部に現れなくなってしまうなどしてしまい、社会との繋がり自体を拒否してしまうことになってしまうのです。
これは外部との接触を最初から拒絶してしまい、治療やリハビリなど非常に困難としてしまう症状と言えます。
それだけでなく意欲や自発性も低下してしまい、何事にも無関心になり、完全に自分の中に閉じこもってしまうことになりかねません。
統合失調症の陰性症状
●感情の鈍麻
感情が平坦化し外に出ない。
●疎通性の障害
他人との心の通じ合いがなくなる。
●緘黙
まったく口をきかない。
●拒絶
人と会うことを拒む。
●常同的思考
同じ行為、言葉を何度も繰り返す。
●抽象的思考の困難
抽象的に一つに思考をまとめられなくなる。
●自発性の低下
自発的に行動できなくなる。
●意欲低下
何かをする意欲がなくなる。
●無関心
何事にも興味を示さなくなる。
●認知機能障害
ものごとを認知することができなくなる。
●パニック発作
パニックを起こしやすくなる。
●独言・独笑
一人でつぶやき、一人で笑うようになる。
統合失調症によって陰性症状が出ると、自閉症のように一人で閉じこもるようになってしまい、社会に出ることもできなくなってしまいます。
人は集団であることに安心を憶え、精神を安定させる生き物です。例え統合失調症によって一人になる事になっても、孤独な状態はさらに精神的なストレスを増やすことになるでしょう。
統合失調症患者の病前性格ってどんなものが多い?
統合失調症患者の幼少年期の性格について、良く知られている所では「親のいうことを良く聞く、いい子」ということです。それは、統合失調症の患者の家族から今までに何度も聞いているので、おそらく事実だと思われます。
統合失調症患者の病前性格については、今までM・ブロイラーやクレッチマーなどの研究者から様々な報告がされています。
ここ最近言われている統合失調症患者の病前性格の中心的な特徴は、次のようなものです。
*非社交的
*無口
*控えめ
*生まじめ
*閉じこもりがち
上記に加え、
1)・傷つきやすい繊細さ
・内気
・小心
・神経質 ……などの過敏な傾向。
2)・無頓着
・冷淡
・怠惰
・人の良さ ……などの鈍感傾向。
これらが色々な割合で混在しています。
このほか、極端なものとしては統合失調症質と呼ばれる性格的な特徴の方もいます。これは、「孤独・人間嫌いで、ひねくれ・偏屈・頑固・自己中心的で疑い深く、すべてに自分を関連付け、被害的になる」などです。
統合失調症患者はその症状を発症する以前から(さかのぼると幼少期から)、認知機構の特異な歪みをもっていると言われています。また、患者と同様の認知機構の歪みを、統合失調症の患者の家族も持っているとの指摘があります。
統合失調症の方は、何らかの認知機能の歪みという素因を持った人が、環境の影響で強化されながら統合失調症的な生活様式を形成していくなかで、彼らなりの防衛機制が破綻した時に発症するのではないかと思われます。
それは、分りやすく言うと、世間一般とは物事の捉え方が根本的に違う人たちが、何とか世間に合わせて生活を送っていたにも関わらず、何かのきっかけでその防波堤が崩れてしまい発症してしまう……という感じではないでしょうか。
発症時期が心理的な揺らぎの多い思春期に最も多いということも、この考えの裏づけになるのではないかと思われます。
(photo by:http://www.ashinari.com/)
著者: カラダノート編集部