気になる病気・症状
副腎疲労症候群の治療を症例から考える!傾向をチェックする!
副腎疲労症候群という病気についてご存知でしょうか?
この病気は、副腎皮質から分泌される「コルチゾル・アルドステロン・アンドロジェン」という3種類のホルモンの分泌が低下することにより、慢性疲労のような倦怠感やうつ症状などを引き起こす病気のことを言います。
慢性的な疲労を訴える患者さんの中には、この副腎疲労を患っている方も多いとの推計がありますが、実際の診断においては、この病気はあまり医師の間でもあまり認知がないため、この診断に行き着くことなく、精神的な疾患と診断されたり、原因が分からないままでなすすべが無く、漢方薬に頼るという(この病気においては間違いではない療法ですが)結果になってしまう方も多いようです。
ここでは、もしかしたら副腎疲労かもしれないと思われる方に、症例を見ていただいてどういった治療を行うかなどの参考にしていただければと思います。
慢性疲労で悩まれていた方の例
インターネット上のとあるクリニックのサイトに、副腎疲労症候群の病気を持っておられた院長ご自身の症例が治療の経過とともに載せてありましたので、そちらを参考にさせて頂きたいと思います。
<主な症状>
39歳の女性で、その主な症状は、
・常時の疲労感。休日になると一日中寝ている。
・頭が働かない。記憶力の低下。
・不眠症状。眠ろうとすると動悸がする。
・免疫力の低下。少しのストレスでもすぐ風邪を引く。
など、慢性疲労やうつ病のような症状。
<既往歴>
易疲労、胃もたれなどの症状から、不定愁訴(自律神経などから来る体調不良)の治療を受ける(栄養療法)。体調は回復していたように見えたが、毎日の仕事や海外出張などが重なり、副腎疲労の症状が発症する。
<検査結果>
行った検査…「血液検査・唾液検査」
血液検査をされた結果、副腎ホルモン値を表す「DHEA-S」は、30代女性の値が50~270であったのに対し、この方は92(100を切ると低値)であった。唾液検査の結果は、日内変動表というグラフで表されていたが、理想値と実質値の2本があり、この方の場合は理想値から大きく下回り、特に朝の時点のコルチゾール値が最も差が大きかった。
<医師によるデータ解説>
全体的な栄養状態に関しては、すでに栄養療法を行っていたことから、貯蔵鉄のフェリチン値がやや低いものの、大きな問題はなし。唾液コルチゾール濃度の検査では、全体的なコルチゾール分泌の低下が認められた。また、血液検査の結果のDHEA-Sの低値も合わせ、副腎疲労と診断された。
<治療方針>
副腎を回復させるため、「栄養療法とホルモン処方」の2タイプの治療法
栄養療法の主なもの:プロテイン、ビタミンC、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンA、亜鉛など
ホルモン処方:ヒドロコルチゾン、DHEA(アンドロジェン)
<その後の経過>
ホルモン内服後、数日で起きていられないなどの症状はかなり改善。不眠や動悸などの症状も同じく改善。その後、しばらくホルモン投与を続けていても、疲労感や頭が回らないなどの症状が表れたため、高濃度ビタミンCの点滴療法を1週間継続して行われた。これにより、状態は回復。
最後に
この方の例は、医師の方であるため、はじめの検査で唾液検査を行われているところから、副腎疲労の可能性を考えられていたのだと思います。
一般の患者さんの場合、この副腎疲労の可能性を考えなければ、唾液検査まで行き着かない場合も大いにあるのでは、と思います。
この場合、どのようにすればよいかですが、やはり患者さん自身がホルモンが体に与える影響についてあらかじめある程度知っていて、医師にホルモンの検査を提案できると望ましいということになります。
また、治療法に関しては、DHEAなどのホルモン投与を行いますが、日本においてはサプリメントとして認可されていないため、医師の処方によって投与することになります。
DHEAはサプリメントとは言え、ホルモンを調整する作用がありますので、必ず医師の指示の下で濃度のチェックを行いながら補っていくことが大切です。
副腎疲労症候群の傾向をチェックする!
副腎疲労症候群の傾向をチェックする!
副腎疲労症候群という病気をご存知でしょうか?
この病気は、副腎皮質から分泌される、
・コルチゾル
・アルドステロン
・アンドロジェン
この3種類のホルモンの分泌が低下することにより、慢性疲労のような倦怠感やうつ症状を引き起こす病気のことを言います。
この3種のホルモンのうち、コルチゾルは、ストレスに対応するためのホルモンですが、激しいストレス環境にいる人は、このホルモンの分泌が多過になり副腎が疲労して、その分泌機能が弱まってしまった状態にあります。この症状が重度の人では、ベッドから起き上がれない、といったような慢性疲労と同じような状態になるようです。副腎は、その活動時に大量のビタミンCを消費しますので、(血中濃度の約150倍ものビタミンCが含まれている)、治療の方法としては、高濃度ビタミンCの点滴などが主な方針になるようです。
ここではまず、副腎疲労症候群の徴候のチェックと自宅で出来る検査法のご紹介をしたいと思います。
<副腎疲労症候群のチェックリスト>
1)毎日疲労を感じている
2)朝起きるのが辛い
3)起きた後も倦怠感を感じる
4)食事を抜くと症状がひどくなる
5)しょっぱいものがほしくなる
6)以前よりストレスの処理が出来なくなった
7)物忘れがひどくなった
8)うつ気味である
9)性欲が減退した
10)怪我や病気の治りが遅い
11)立ちくらみがする
12)毎日を過ごすだけで精一杯である
※チェックが5つ以上当てはまった場合は、次の検査を行います。
<自宅で出来る副腎検査(瞳孔チェック)>
この検査方法は、あるクリニックのホームページにて紹介されていた方法です。
(瞳孔に光を当てますので、決められた時間以上の長時間の照射は避けてください)
1)縮瞳テスト(瞳孔の収縮可能時間を測る):
懐中電灯を使用して、鏡を見ながら自分の瞳孔に光を当てます。虹彩が光に反応して収縮しますが、徐々に開いてきます。副腎機能が低下している場合は、この散瞳(瞳孔が開く)は2分以内に起こるとのことです。また、この散瞳は、筋肉が収縮能力を取り戻すまでの30秒~45秒持続するということです。月に一度の検査でも結果が分かるようです。
副腎が回復するにしたがって、縮瞳できる時間は長くなっていきます。
※途中で縮瞳ができなくなることは、軽度では見られず、中から重度の副腎疲労に見られるということです。
2)血圧測定:
血圧測定器がある場合は、血圧によって副腎疲労であるかを見分けることができます。特に気をつけたいのが、「起立性低血圧」とのことです。この症状の方のほとんどが、副腎疲労の徴候があるようです。
通常:起立時の血圧は10-20mmHg上昇。低下であれば、副腎疲労か脱水が疑われる。水分を摂って10分後に再検査をした際、まだ低ければ副腎疲労だということです。
最後に
ここで行った検査は簡易的なものですが、本来の副腎疲労症候群の診断には唾液検査を行うようです。唾液検査を行っている病院はごく限られているようで、また保険も利かないため1万円程度かかってしまいます(郵送検査という方法もあるようです)。しかし、毎日の疲労の正体が分からない、他の検査を行ったけれど全て異常が無かった、という方は診療によってその悩みが改善される場合も考えられますので、一度検討してみることも必要かもしれません。
(photo by:http://pixabay.com/)
著者: カラダノート編集部