育児
早産ほど気をつけたい!新生児の黄疸による脳性麻痺について
出産を経験されたお母さんなら、新生児室などで肌の色が黄色くなった赤ちゃんを見かけられたことがあるかも知れません。
新生児の黄疸による脳性麻痺
皮膚が(時には眼球なども)黄色くなる病気を「黄疸」といいます。
生後2~3日頃に徐々にその徴候が出始め、およそ1週間程度をピークとして、通常はその後徐々に数日~数週間で消えていきます。
黄疸の発症率は、新生児においては約90%と言われ(治療を必要とする率が20%)、珍しくはない病気であるといえます。
通常の黄疸について
通常であれば特に治療は必要としません。
一般的にかかる黄疸を「生理的黄疸」と言いますが、この発症の原因としては、新生児が多血症(赤血球の比率が高い)であり、また赤血球の寿命が80日と短いため(通常は120日)、ビリルビンの濃度が高くなってしまうことにあります。
(ビリルビンとは:赤血球が壊れた際に生じる、黄疸の元になる黄色い色素。血液中に溶け込み、皮下脂肪へと吸収される。)
また、肝臓と腸の機能も大きく関係しています。
ビリルビンは肝臓において便へと流れる水溶性の状態に変換されますが、生後7日まで赤ちゃんの肝臓機能は未熟であるため、全てのビリルビンを上手く変換することが出来ず、脂溶性のまま体内に蓄積し体が黄色くなります。
(それゆえ、ウンチの色が白くなります。)
このような状態においても、多くは生理的現象のため、治療は必要ないのですが、重症化した黄疸の場合は早急に対処することが重要です。
蓄積したビリルビンが血液脳関門という関所を越えて、脳に流れてしまい、脳性麻痺を引き起こす可能性(核黄疸)があるため、早期に発見し、治療することが必要になります。
重症黄疸について
上記で述べたとおり、重症黄疸については早急な対処(72時間以内と言われています)が必要になります。
重症化する原因としては、
1)母子の血液型が一致していない場合…母親のヘモグロビンに対し抗体が出来、大量に破壊されるため、ビリルビン量が多くなる
2)早産児である場合…体内の脂肪比率が少ないためビリルビンを水溶性へと変換させる際に必要な脂肪酸が不足し、代謝できない。また、血液脳関門が未発達なため、異物が脳内に侵入しやすく核黄疸が起こりやすい
3)遺伝性溶血性疾患を持っている場合
4)先天性胆道閉鎖症
5)新生児肝炎
などがあります。
遷延性黄疸について
遷延性黄疸とは、黄疸の発症時期が通常より少し遅れ、生後7日以降に発症するものを指します。
その原因としては、以下のものが挙げられます。
腸肝循環の亢進・飢餓・先天性甲状腺機能低下症・母乳性黄疸 など。
この中でも特に多いのが、母乳性黄疸です。
生後7日以上経過しているにも関わらず、黄疸が続いている場合は、まずこの病気を疑います。
この病気のメカニズムとしては、母乳栄養の場合、母乳に含まれる脂肪酸が、ビリルビンの水溶性化を行う酵素を抑えてしまうため、ビリルビンが脂溶性のまま存在し、便として排出されにくくなるために黄疸が起こります。
この場合も、生理的黄疸と同様、特別な治療は必要としません。
検査と治療方法について
検査方法
基本的には、「ミノルタ黄疸計」でビリルビン値の経皮検査を行います。
測定値が22以上なら、血液検査で詳細に行います。
治療法
治療法には次の2種類があります。
1)光線療法
2)交換輸血
・光線療法は、ブルーライトやグリーンライトの紫外線を赤ちゃんに当て、体内のビリルビンを異性体に変化させることで、腸管へ排出させます。
・交換輸血は、赤ちゃんの血液を入れ替える治療です。
出生前診断により、母親との血液型が異なっている場合など、溶血性黄疸が疑われる場合に行われます。
(血液型が異なると、血液中に抗体が出来、赤血球が溶血する(破壊される))
光線療法で改善が見られない場合は、交換輸血を行います。
上記でも述べたように、核黄疸を防ぐためには、早期に異変に気づき治療を受けることが必要になります。
72時間以内に病院で受診してください。
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著者: カラダノート編集部